パートタイムジョバー
こないだの話だ。バイト中に暇すぎたときの話。
ヒマで暇でぼーっとしてたら、ふと脳裏にある記憶がよぎった。
まだバイト入りたてのオレについた教育係のセンパイが、その新人の前でガッツリ皿を割った。
その日ずっとイラついてたセンパイは、ミスした焦燥感からか、ちょっと新人にあたって、破片を片付け始めた。
女の人だった。確実に年上ではあった。妙齢。
でもあれはいつの話だっけ?そもそも何のバイトだったっけ?
この一年で8種類のバイトを渡り歩いた。だんだん、誰がどのバイトの同僚だったのかわからなくなることが増えた。
あるときは居酒屋のホールだったし、またあるときは模試の試験監督だった。
他にもシュートボクシングの運営スタッフ、3塁側にファールボールが飛んできたら笛を吹く人、家庭教師の勧誘の電話をかけてくるあの人、
今はそのどれも辞めてしまった。
別に人とトラブルを起こしたことは一度もない。
ただ一人でジョブ型労働社会を体現している...いや続けろよバイト
居酒屋時代のまかない
思い出した
皿を割ったのは、寿司屋でバイトしてたときの教育係だ。
あの頃、出勤が億劫で、あんなに生活の大きなストレスだった寿司屋バイトのことも、もうこんなに記憶が曖昧になっている。
自分の今の生活で大きなウエイトを占めていることも、あの日皿を割った教育係のことみたいに、いつかはぼんやりした記憶になってしまうのかもと思った。
皿を割ったのが誰だったか思い出そうとしているうちに、何人か客が来ていたのでレジに戻った。
今のバイトは2週間前に始めた。